SPYDは4%を超える驚異的な高配当が魅力のETFです。
ですが投資にそんなうまい話があるでしょうか?
そんなはずはありません!きっとボッタクリ投資信託に違いない!
今回はそんなSPYDを隅々まで暴いていきます。
Contents
SPYDは米国の高配当株をかき集めた超高配当ETF

まずはSPYDの特徴を一覧にしました。(一部参考:SPYD運用実績(2019年6月30日時点))
配当利回り | 4.69% |
---|---|
設定年 | 2015/10/21 |
経費 | 0.07% |
運営会社 | ステート・ストリート(米) |
純資産規模 | $19.71億 |
銘柄数 | 80銘柄 |
ベンチマーク | S&P500高配当指数 |
1年トータルリターン | 6.76% |
3年トータルリターン | 9.21% |
一番気になるのは配当利回り。なんといっても4.69%は驚異的です。
また配当利回りだけでなく、トータルリターンでも十分な数字を出しています。
配当金だけでなく成長力も期待できる銘柄といえますね。
これらの特徴をもとにSPYDの気になるところを深掘りしていきます。
SPYDのここが気になる

SPYDの運営会社はどんなところ?
手始めに大元の運営会社を調べていきましょう。
運営会社はアメリカのステート・ストリートという企業で、世界No.3の運用資産残高を誇っています。

ステート・ストリート社は世界でもっとも販売されているETFであるS&P500インデックスのSPYを設定した企業であり、ETFを最初に作った企業でもあります。
SPYの資産規模は約28兆円なので、トヨタの時価総額の24兆円よりも大きいお金が動いています。
たった1つの商品にこれだけの金額が動いていることを考えるとステート・ストリート社がどれだけ信頼されているかがわかると思います。
銘柄の選定基準はなに?
銘柄はベンチマークであるS&P500高配当指数を基に決められています。
S&P500高配当指数はS&P500銘柄に組み入れられている高配当株上位80銘柄を均等(1.25%ずつ)に組み入れたものです。
S&P500指数とは米国株式市場の動向を示す株価指数のひとつで、アメリカ市場全体の動きを表す指標として機関投資家などに広く利用されています
参考:SMBC日興証券
これがSPYDが高配当の理由です。
2019/11/7時点の組み入れ銘柄上位10社は以下のようになっています。(1年に2回リバランスをするため、あまり意味がないかもしれませんが。。)
銘柄 | 組み入れ比率 | S&P500時価総額ランキング |
ニューウェル・ブランズ | 1.70% | 440位 |
レゲット・アンド・プラット | 1.69 % | 454位 |
ウエスタンユニオン | 1.63 % | 388位 |
センチュリーリンク | 1.58 % | 325位 |
ノードストローム | 1.51 % | 472位 |
アッヴィ | 1.48 % | 44位 |
シーゲイト・テクノロジー | 1.45 % | 331位 |
カーディナルヘルス | 1.45 % | 328位 |
AT&T | 1.45 % | 13位 |
コティ | 1.44 % | 420位 |
※S&P500時価総額ランキングは2019/11/9時点のランキングを用いています。
※ステート・ストリート公式HPから2019/11/7時点の組み入れ比率上位銘柄を作成しています。
組み入れ上位銘柄のS&P500時価総額ランキングを見ると、時価総額の小さい企業が上位になっていることがわかります。
小型株や大型株を全て均等な比率で組み入れると、変動の激しい小型株の割合が突出してしまうためです。
組み入れ比率が低い銘柄10社も同じようにS&P500時価総額ランキング下位の企業が並んでいることがわかります。
銘柄 | 組み入れ比率 | S&P500時価総額ランキング |
メーシーズ | 0.85% | 479位 |
エル・ブランズ | 0.85% | 480位 |
オキデンシャル・ペトロリウム | 0.91% | 173位 |
ヘルメリック・アンド・ペイン | 0.97% | 483位 |
ウィリアムズ | 1.00% | 217位 |
ニールセン | 1.02% | 455位 |
マセリッチ | 1.04% | 489位 |
フォードモーター | 1.04% | 174位 |
タペストリー | 1.07% | 447位 |
ベンタス | 1.07% | 259位 |
※S&P500時価総額ランキングは2019/11/9時点のランキングを用いています。
※ステート・ストリート公式HPから2019/11/7時点の組み入れ比率下位銘柄を作成しています。
S&P500の選定基準の1つには時価総額40億米ドル以上という条件があります。
日本企業でいうと2019/11/9時点でイオンモール、三越伊勢丹が同じくらいの時価総額となるため、いわゆる大企業クラスの企業がS&P500に組み入れられていることがわかります。
SPYDはS&P500時価総額ランキングの中で下位の銘柄が多いため、そこそこの大企業を中心に組み入れられたETFと言うことができます。
2019/11/7時点の組み入れ銘柄をセクターごとに分けると以下のようになります。

不動産(REIT)の割合が大きいのがSPYDの特徴といえますね。
投資信託コストは安いの?
投資信託のコストは毎年全体の資産に対して0.07%かかります。
日本のインデックスファンドのランキング一覧を見ると、手数料がどの投資信託よりも安いことがわかります。
安さの秘密はSPYDに集まる資産の大きさです。
ランキング一覧に載っている投資信託と比較すると、どの投資信託と比べても約10倍の資産規模になっています。
このため手数料が低くても利益がでるような仕組みになっているのです。
世界のETFと比べても、遜色ないくらいに頑張ってます。
SPYD | SPY | VOO | VYM | HDV |
0.07% | 0.0945% | 0.03% | 0.06% | 0.08% |
同じ高配当ETFであるVYMと比べると少し手数料が高めですが、設定されてまだ日が浅いため資産額が少ないことを考えると、これからに期待です!
リターンは他の投資信託と比べて高いの?
ここではバンガードシリーズのS&P500インデックスファンドであるSPYと比較します。
条件を揃えるため、2019年6月30日時点の実績を基にしました。
1年来リターン | 3年来リターン | 5年来リターン | 配当利回り | |
SPY | 10.18% | 14.00% | 10.56% | 1.78% |
SPYD | 6.76% | 9.21% | N/A | 4.69% |
総合的なリターンはSPYが優れていますが、配当利回りではSPYDが優れていることがわかります。
SPYDの設定時(2015/10/21)から2019/11/22の配当金再投資込みのリターンは以下です。

SPYの方が約14%リターンが上回っています。
SPYでは成長率の高い情報技術セクターが4分の1近くを占めているため、最近の好景気だとここまでリターンに差が出たと考えられます。

SPYDでもキャピタルゲインが期待できますが、資産の最大化を狙うならSPY、配当金で不労所得を手に入れるならSPYDと目的を決めて投資することをオススメします。
減配はしない?
一番気になるところですよね。
今までのSPYDの配当金推移は以下です。

2016年 | 2017年 | 2018年 | 平均値 | |
配当金 | $1.514 | $1.422 | $1.619 | $1.222 |
配当利回り | 5.17% | 4.08% | 4.32% | 4.52% |
ただしETFの場合、減配とは少し異なります。
SPYDでは減配や株の成長によって上位高配当銘柄80種に該当しなくなった株は、年2回のリバランスによって新しい高配当株と組み替えられるため、安定した高配当が期待できます。
何かしらの理由で配当が大きく下がったら、S&P500銘柄に高配当株がないのであきらめましょう笑
一方SPYDでは堅調な増配は期待できません。
他の高配当ETFと比べて、規模の小さい企業の割合が大きいため、変動が大きいからです。
矛盾はしてません!
これからSPYDは高利回りを保ちながらも、図のイメージのように増配と減配をくり返しながら、増配していくと予想しています。

SPYDは購入するべきか?

今後購入する予定ですが、現時点では控えています。
理由は2つあります。
・資産の最大化を優先したい
・暴落の影響を見たい
資産の最大化を優先したい
もしすでに充分な資産があれば、SPYDを購入して不労所得生活を満喫しますが、まだそんな資産はありません。
今の優先事項はとにかく資産を増やすことです。
SPYDはS&P500インデックスファンドと比べるとリターンが下回ります。
そのため資産を増やすことを考えると、まずはSPYƒなどのS&P500インデックスファンドを購入することが一番効率がよいのです。
暴落の影響を見たい
SPYDは2015/10に設定されたETFのため、リーマンショックのような暴落が来たときにどのような影響があるかわかりません。
同じ高配当ETFのVYMはリーマンショック時に約19%も配当金の下落が起きました。

(参考:バックテストポートフォリオ)
ただしVYMでは大型株を中心にポートフォリオが組まれているため、中型株が多いSPYDではさらに大きい暴落が考えられます。
そのため今は楽天VTIで資産を増やしつつ、SPYDの今後の動向を見ていきたいと思います。
SPYDはVYMと組み合わせるべし
『SPYD+HDV』の方が利回りは上ですが、安定性を考えると『SPYD+VYM』の組み合わせこそ一番相性がいいと考えています。
理由は3つあります。
・SPYDの中型株中心の構成と相性がいい
・セクター別割合のバランスがとれる
・リスクを中和しながらも高配当が期待できる
SPYDの中型株中心の構成と相性がいい
VYMやHDVは大型株を中心に構成している高配当ETFですが、HDVでは特定の銘柄に大きな割合を割いています。
一方でVYMは銘柄ごとに大きな偏りはなく、HDVよりも広く大型株をカバーしています。
SPYDはS&P500の中でも時価総額が低めの企業が多く、いわゆる中型株を中心に構成されているため、大型株をまんべんなくカバーしているVYMと組み合わせることで、大型株も中型株もカバーしたバランスのとれたポートフォリオになるのです。
セクター別割合のバランスがとれる
SPYDでは不動産、一般消費財・サービスセクターの割合が大きいことが特徴でしたが、ここで『VYM+SPYD』のセクター別の割合を見てみましょう。

2つのETFを組み合わせたことでいい感じにセクター比率が整えられました。
ちなみにこちらは『HDV+SPYD』にも有効なので、ここでの勝負は引き分けですね笑

リスクを中和しながらも高配当が期待できる
高配当ETFのリスク度は、
SPYD > HDV > VYM
だと考えています。
SPYDは変動の激しい中型株が多いため、現在は高利回りをキープしていますが、今後も安定した増配ができるかはわかりません。
HDVは大型株が多いものの、銘柄ごとの割合が大きいため組み入れ上位の銘柄が崩れたときのリスクが大きいです。
VYMは大型株を広くカバーしているため安定感は抜群ですが、利回りは他のETFと比較すると低いです。
これらから、SPYDとVYMを組み合わせることで高利回りかつ安定感のあるポートフォリオを作れると考えています。
まとめ【SPYDは不労所得として優れた一品!】

今回は高配当ETFであるSPYDについて書いていきました。
不労所得として購入するには資産が少ないため、今は見送っていますが今後必ず購入したい商品です。
不労所得生活が見えたころか、配当利回りが期待値になったら購入を考えていきます。
ただまだ設定期間も浅いため、今後の動きには注目です!
今回の記事がみなさんのお役に立てればうれしいです。
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