HDVは2011年に運用資産残高世界No.1のブラック・ロックが設定した米国高配当株ETFで、SPYD・VYMと並んで米国高配当株ETF3兄弟の1つです。
配当利回りだけでなく企業の財務状態を考慮して銘柄選定をしているのが大きな特徴です。
今回はそんなHDVが魅力的な不労所得になりえるかについて書いていきます。
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HDVはやや癖が強めのETF

まずはHDVの特徴を一覧にしてみました。(一部参考:HDV運用実績(2019年9月30日時点))
配当利回り | 3.57%(2019/11/16時点) |
---|---|
設定年 | 2011/3/29 |
経費 | 0.08% |
運営会社 | ブラック・ロック(米) |
純資産規模 | $74億 |
銘柄数 | 75銘柄 |
ベンチマーク | モーニングスター配当フォーカス指数 |
1年トータルリターン | 7.59% |
3年トータルリターン | 8.72% |
5年トータルリターン | 8.36% |
配当利回り3.57%はSPYDとVYMの中間に位置しています。
銘柄数は高配当ETFの中でもっとも少ない75銘柄で構成されており、その理由が気になるところです。
それではこの表をもとにHDVについて深掘っていきます。
HDVのここが気になる

HDVの運営会社はどんなところ?
運営会社はアメリカのブラック・ロック社で、世界No.1の運用資産残高を誇っています。

運用資産残高は2019年9月末時点で約752兆円に到達しています。
日本に上場している株式の時価総額の合計が約650兆円なので、日本企業の株を買い占めても100兆円お釣りが来るくらいですね。。
ブラック・ロックの強みは運用資産残高No.1だからこそわかる資金の流れです。
お金がブラック・ロックを通じて株式市場に投入されることは、何が今買われていて何が売られているのかを把握することができます。
またIT分野にも強く、1988年の創業以来IT技術を用いてデータ分析、リスク管理を主軸にしてきました。
現在も自社で開発したアラディン(Aladdin)というサービスを用いてポートフォリオ分析やリスク/リターン分析を行い、機能についてもアップデートを続けています。
資産規模を活かした購買行動の取得 & Aladdinを用いたデータ分析により、運用資産残高1位を守っているのです。
銘柄の選定基準はなに?
銘柄はベンチマークであるモーニングスター配当フォーカス指数を基に決められています。
ざっくりいうと、財務状態が健全な高配当米国株75銘柄(REITを除く)に投資する指数です。
以前まではモーニングスター配当フォーカス指数について詳細に説明してあるページがあったみたいですが、現在は消えていたためそのページを基に作成していた記事を参考にして説明します!
※参考記事
ここで気になるのは財務状態の健全性をどのように計測しているかですが、銘柄が組み入れられるためには2つの基準を満たさなければいけません。
・競合が参入しにくいか
・借金が返せなくなる可能性はないか
つまりこれからも事業が安定して継続できて、潰れる可能性が低い銘柄が選ばれていることがわかります。
そしてその中でも配当利回りが高い75銘柄がHDVに組み込まれているのです。
参考までに2019/11/13時点で組み込まれている上位10銘柄を以下に記載します。
銘柄 | 組み入れ比率 |
AT&T | 9.76% |
エクソン・モービル | 9.14% |
ジョンソン&ジョンソン | 6.55% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 6.39% |
シェブロン | 5.93% |
ウェルズ・ファーゴ | 5.84% |
ファイザー | 5.07% |
P&G | 4.83% |
コカコーラ | 3.81% |
シスコ・システムズ | 3.77% |
61.41% |
※表は2019/11/13時点のブラック・ロック公式HPの値を参考に作成しています。
その理由は銘柄数の少なさと銘柄の組み入れ比率に配当加重平均指数を用いているためです。
配当加重平均指数とは支払い配当金の総額が多い銘柄ほど比率が高くなる指数なので、配当金利回りが高く、時価総額の大きい銘柄ほど割合が大きくなります。
時価総額は「発行済株式数×株価」で計算されるため、時価総額に配当利回りを掛けた値が支払い配当金の総額になります。
そのため時価総額が大きく、配当利回りも高いAT&Tやエクソンモービルのような企業が突出して大きい割合になっているのです。
組み入れ銘柄は先ほどお見せした以下の条件をもとに年4回リバランスされるため、常に最新の状態を加味して銘柄が決められています。
・競合が参入しにくいか
・借金が返せなくなる可能性がないか
とはいっても上記の条件は頻繁に状況が変わるようには思えないので、少しリバランスの回数が過剰な気もしていますが。。
2019/11/13時点でのセクター比率は以下のようになっています。

比率の上位にはエネルギー、通信などの生活のインフラになるものが占めていることがわかります。
競合が参入しにくく、安定した収益を上げられる業態というとインフラ系が中心になるのは納得できますね。
投資信託コストは安いの?
2019/11時点でのHDVのコストは毎年全体の資産に対して0.08%かかります。
組み入れ銘柄の財務状態について考察を行い、年4回のリバランスを行っている手間を考えるとかなり安いといえます。
他のETFと比べると少し高めにはなりますが、充分許容範囲です。
HDV | SPY | VOO | SPYD | VYM |
0.08% | 0.0945% | 0.03% | 0.07% | 0.06% |
リターンは他の投資信託と比べて高いの?
バンガードシリーズのS&P500インデックスファンドであるSPYと比較します。
条件を揃えたかったのですが、HDVが2019/9/30時点、SPYが2019/6/30時点の実績しかなかったため、あくまで参考値として見てください。(配当利回りのみ2019/11/16時点)
1年来リターン | 3年来リターン | 5年来リターン | 配当利回り | |
SPY | 10.18% | 14.00% | 10.56% | 1.78% |
HDV | 7.59% | 8.72% | 8.36% | 3.57% |
総合的なリターンはSPYが優れていますが、配当金ではHDVが優っていることがわかります。
HDVの設定時(2011/3/29)から2019/11/22の配当金再投資込みのリターンは以下です。

SPYの方が約30%ほどリターンが上になっています。
参考までにSPYのポートフォリオを以下に記載しますが、成長率の高い情報技術セクターが4分の1近くを占めているため、最近の好景気だとここまでリターンに差が出たと考えられます。

HDVでも配当金以外にキャピタルゲインが期待できますが、資産の最大化を狙うならSPY、配当金で不労所得を狙うならHDVと目的を決めて投資することをオススメします。
減配はしない?
HDVの配当利回りの推移は以下のようになっています。

2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 平均値 | |
配当金 | $2.093 | $2.230 | $2.451 | $2.879 | $2.700 | $2.949 | $3.095 | $2.414 |
配当利回り | 3.77% | 3.80% | 3.49% | 3.76% | 3.68% | 3.59% | 3.43% | 3.65% |
※配当利回りは年間分配金を前年末の株価で割った値です。
リーマンショックのような大暴落で減配するなら納得できますが、2016年に減配をした理由はなんなのでしょうか?
細かい資料はありませんでしたが2016年は、
・米国次期大統領がトランプ氏に決定
・イギリスのEU離脱国民投票
・チャイナショック
など世界経済を賑わした出来事が目白押しだったので、その影響が原因として考えられそうです。
財務状態も考慮して銘柄を選定していたのに、減配を行なっているのは大きなマイナスポイントですね。。
HDVは購入するべきか?

現在は購入する予定はありません。
理由は2つあります。
・資産の最大化を優先したい
・VYMの方が安定した配当が期待でき、利回りにも大きな差がない
資産の最大化を優先したい
HDVは増配やETFの成長性も十分ですが、資産を増やすためであればS&P500インデックスファンドの方が過去実績は上です。
今後SPYなどのリターンの方が優れている保証はありませんが、「ウォール街のランダム・ウォーカー」でもS&P500へのインデックス投資が1つの最適解と言われているのであれば、SPYなどに投資をする方が理にかなっていると考えています。
VYMの方が安定した配当が期待でき、利回りにも大きな差がない
ETF設定時からのVYMとHDVの配当利回りの平均値は以下です。(設定時期が違うため、参考値として見てください。)
HDV | VYM |
3.65% | 3.23% |
配当利回りの差は0.42%とそこそこありますが、配当についての安定感はVYMの方が上です。
VYMはリーマンショック以降、減配を1度もしていないという実績があるからです。
この安定感は特定銘柄に偏りがないことも理由だと考えています。
参考までにVYMの2019/9/30時点の上位銘柄を以下に記載します。
VYM上位10銘柄
銘柄 | 組み入れ比率 |
JPモルガン | 3.6% |
ジョンソン&ジョンソン | 3.3% |
P&G | 3.0% |
エクソンモービル | 2.9% |
AT&T | 2.7% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 2.4% |
インテル | 2.2% |
シェブロン | 2.2% |
メルク・アンド・カンパニー | 2.1% |
シスコ・システムズ | 2.1% |
26.5% |
VYMは組み入れ比率が一番大きいもので3.6%となっていて、HDVの9.76%と比較すると偏りが小さく、上位銘柄の合計もHDVは61.41%となっている一方でVYMは26.5%しかありません。
そのためHDVは組み入れ比率上位の銘柄が崩れると配当利回りに大きく影響する可能性があります。
2019/11/16時点では配当利回りにも大きな差はないため、タイミングを取ってVYMを買う方が、不労所得のためには有効でしょう。
HDV | VYM |
3.57% | 3.44% |
まとめ【HDVはリスクが高く単独での所持はしない予定】

今回はHDVについて書いていきました。
セクターや銘柄での偏りが強く、HDVだけを保有するのはあまりオススメできないように感じました。
配当利回りであればSPYD、安定感であればVYMがあるため、わざわざHDVを持つメリットはないと考えています。
ぼくとしても今後はVYMとSPYDの2軸で考えていく予定です。
今回の記事がみなさんのお役に立てればうれしいです。
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